激しくつらい感情を抱えて苦しんでいる時に一体どうすれがいいのか?
その代表的な療法である「弁証法的行動療法」について紹介します。
※以下の内容は「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」(著 マーシュマッケイ他)の内容から抜粋させていただいている内容がほとんどです。
こんな方に役に立ちます
・自分が激しくつらい感情を抱えて苦しんでいる人
・その人にとってよくない過剰な行動がある方
(自傷行為、自殺企図、過食、拒食、アルコール中毒、買い物中毒、薬物中毒、ギャンブル依存、他者に対する虐待行為など)
・またそのような方をクライアントに持っているコーチ、カウンセラー、セラピスト
弁証法的行動療法とは
弁証とは
まず、弁証とは「弁論によって証明すること」です。
弁証法とは、極めて異なるような、あるいは矛盾している2つのものの両者を尊重しながら、比較することです。
弁証法的行動療法とは
自分では制御できない、激しくつらい感情を抱えて苦しんでいる人のための療法です。
認知行動療法の一つです。
特に、境界性パーソナリティ障害を持つ人に有効だと言えます。
以下のような苦しい状況や問題行動が続く時、
・激しくつらい感情から自分自身が戻って来れなくなる時
・自分を強く罰するような行動が一定期間続く時
(自分が自分に対して、ダメと過剰に強く罰するような言葉を発したり、責め立てる行動など)
・自分にとってよくない過剰な行動が続く時
(自傷行為、自殺企図、過食、拒食、アルコール中毒、買い物中毒、薬物中毒、ギャンブル依存、他者に対する虐待行為など)
その問題行動に対して、自分で具体的に適応する努力ができるようになることに専門家とともに取り組んでいく療法です。
自分で具体的に適応する別の行動をすることで、もともとあった問題行動の解決を図ります。
弁証法的行動療法の具体的な方法
弁証法的行動療法の具体的な方法をリストアップして紹介します。
それぞれの具体的な方法はまた別の機会に紹介します。
基礎編
・自分を傷つける行為を冷静に認知(行為の意味、一時的報酬、デメリット、長期的な代償・危険、改善する意欲を思い出させるもの)
・徹底的受容
・自分の感情を認識し、記録をつける(ネガ・ポジ)
・注意をそらす(身体的対応)
・自分をリラックスさせ落ち着かせる(身体的対応)
・私の欲求と彼らの欲求の書き出し
・恐れに対する分析(恐れていること、それを支持する証拠、それが起こらないケース、それが起こる可能性%)
上級編
・安全な場所の視覚化
・リラクゼーションを誘発する言葉の活用
・自分の価値観の再発見
・自分の中の大いなる力の見極め
・タイムアウトをとる
・現在の瞬間に生きる
・励ますコーピング思考
・徹底的受容
・感情の暴露
・自分を肯定する言葉を唱える
・新たな対処の仕方の構築(苦痛な時のワーク・緊急時の対処方法)
・マインドフルネス(瞑想・瞑想日記・「私は~」文章に書き換える
・否定的なことを考えた瞬間を記録する(価値判断に気付く)
・問題解決をする
・全体像の記録(出来事、結果、その時考えたこと、感じたこと、相反する証拠、全てを考慮した上での偏りのない考え方・感じ方、健康的に対処するためにできること)
・自分が望むことを書き出す(自分のこと、相手に対してして欲しいこと、あまりして欲しくないこと、やめて欲しいこと)
・相手に簡単な依頼をするアサーション作成
上記の中、重要なものを解説します。
コーピング思考を強めることが大切
コーピングとは、ストレスを感じた時に生じるストレス反応への対処法のことです。
英語では「対処」を意味する「coping」と表記されます。
コーピング思考とは
ストレス・問題行動に対して、自分を力づけ励ます思考を思い出して、自分に何度も強く刻むことです。
例えば
「この状態は永遠には続かない」
「私はすでに他にも多くのつらい経験をし、乗り切ってきた」
「だから、なんだというのだ?」
「不安であっても、私は強く、これに対処できる」
「私の不安、怖れ、悲しみが私をうちのめすことはない。今はそれが気分が良くないものであるいうだけだ」
「私は違う考えを持ってすることもできる」
ストレスコーピングでは
ストレスの元のことを、ストレッサーと言います。
ストレスを感じた際に
「ストレッサーによる刺激→認知→ストレス反応」という一連の流れを自分でしっかりと認識し、対処方法を考えるという作業を行います。
適応機制は、つらい状況、ストレスから精神を守るために、本能的に働く心の防衛反応です。
コーピングとの違いは、無意識のうちに行われることであり、コーピングは意識的に行うものです。
徹底的受容を育てる
徹底的受容とは
批判せずに完全に何かを受け容れることです。
それと争わない、それに対して怒らない、あるいはそれを何かに変えようとしない、ということです。
現在の瞬間が、過去の長い一連の出来事、体験、決断の結果として存在するという事実を受け容れなければいけないということです。
現在の瞬間が、過去の一連の出来事によるものではなく、突発的に出現する、ということはありません。
ただし、徹底的に受け容れることは、何もかも諦めて、自分に起こる全ての悲惨な状況を受け容れるということではありません。
しかし、圧倒されるような感情を持つ多くの人々は、人生の中で出来事がただ自分に「降りかかってくる」ように感じることが多く、ある状況が引き起こされる際には、自分自身に役割があることに気づいていません。
徹底的受容とは、色々な意味で、「平安の祈り」のようなものです。
まとめ
激しくつらい感情を抱えて苦しんでいる時に一体どうすれがいいのか?
そのすぐできる対処法を自分が使えるようになること、
そして、その感情的になるにはどんな思考の癖があるのか、
を客観的にもう一人の自分が認知できること、行動を応援できるようになることがゴールとなります。
それが起こった時にどうするか、だけでなく、根本的な癒しを癒していくことも同時に行っていけるといいなと思います。
私はメンタルコーチであり、心の専門家として、そのクライアントさんにあった手法を何度も一緒に繰り返し、身につけていくことを、冷静に焦らず実践していきたいと思っています。